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メルケル首相 欧州連合(EU)について語る「ドイツの力は無限ではない」

記事

メルケル首相は、ヨーロッパの6つの日刊紙とのインタビューに応じ、欧州連合(EU)について語りました。

南ドイツ新聞(SZ)インタービュー書き起こし記事(2012年1月26日)

(訳 文)

鉄の首相、女性版ビスマルクなどと呼ばれるメルケル首相は、債務危機の中、ヨーロッパで最も力を持つ政治家となった。メルケル首相はヨーロッパの6つの日刊紙とのインタビューで、初めてこの力について省察し、連帯に対する考えを述べるとともに、欧州連合加盟国に対して、債務危機でドイツに負担をかけすぎることに警告を発した。

メルケル首相が、ユーロ危機に関するインタビューに応じることは珍しい。その一言一句が欧州連合のパートナー国の解釈の対象となり、不用意に何かを強調すると、市場の混乱を招く可能性があるからだ。それでもメルケル首相は結局一時間にわたり、南ドイツ新聞(SZ)のシュテファン・コルネリウス記者、ガゼタ・ヴィボルチャのバルトス・ビリンスキー記者、エル・パイスのハビエル・モレノ記者らと、首相にって最も重要な政治プロジェクトに関して語った。

SZ: 首相は、楽器を演奏しますか?

アンゲラ・メルケル: いいえ。子供の時に少しフルートとピアノを習いましたが、あまり上達しませんでした。

SZ: でも、コンサートに行くのは好きですね?もし欧州連合をオーケストラに例えると、ドイツはどのパートを担当するのでしょうか

メルケル: 私の考える欧州連合というオーケストラでは、ある国は繊細な音だけを担当し、ある国はトロンボーンだけ担当するということはありません。どの国も、全ての音域を受け持たなくてはいけません。

SZ: 欧州連合というオーケストラは、一年間綿密にリハーサルをしましたね。不協和音も多かったですが・・・・

メルケル: ・・・かなりの現代音楽ですね。

SZ: ・・・そのオーケストラは、今では合奏を習得したのでしょうか?具体的に言えば、政治は危機を制御できているのでしょうか。

メルケル: そうです。私たちはオーケストラのように、ヨーロッパという音楽を、一緒に世界で鳴り響かせたいのです。ただ政治にも、長調もあれば短調もあり、協和音も不協和音もあります。しかし、ヨーロッパ大陸の歴史において、そもそも今日、欧州連合をオーケストラに喩えることができること、それ自体が大きな進歩なのです。

SZ: そして、その合奏はどのようなものでしょうか?

メルケル: 私たちはまだ、危機を乗り超えたわけではありません。まずは、現在取り組んでいる問題があります。いくつかの国は、数年にわたって累積し、さらに金融・経済危機で悪化した膨大な負債をかかえ、多くの場合は同時に失業率も高く、深刻な構造的問題をかかえています。またもちろん、さらにギリシャという特別なケースがあり、ギリシャ自身も国際社会も努力していますが、まだ状況は安定していません。まずはこれら全てを落ち着かせ、市場の信頼を回復しなければいけません。

これに加えて、非常に根本的な問いがあります。それは、自分たちは欧州連合に対して、どの位の野心を持っているのか?という問いです。欧州連合加盟国は自分たちの経済力を、平均値に合わせようとしているのか?それとも、ダイナミックに経済成長し、成長のスピードでリードする地域に合わせようとしているのか?という問いです。欧州連合加盟国が、財政規律や債務削減に関して、今では共通の姿勢を持つようになったのは良いことですが、それでは十分ではありません。ヨーロッパはもっと成長と雇用が必要であり、世界的な競争の中で、将来にわたり存在を主張していかなければいけません。わたしは20年後も、ヨーロッパのイノベーションの力と製品が評価されることを望んでいます。重要なのは、グローバル化の中で、いかに存在を主張できるかです。

「危機の後  ヨーロッパはもっと強くなる」

SZ: これまでの危機政策に懐疑を感じていますか?

メルケル: 良い政治家というものは常に懐疑をいだくもので、自分の出した回答を、常に検証し直しています。もちろん私は、ユーロも欧州連合も維持したいと思っており、この目標に関して疑問はありません。ただし、目標に至るまでの道のりでは、しばしばバランスをとったり、妥協したりします。財政協定は正確にはどのようになるのか、労働法の問題はどうするのか、欧州連合構造基金はどのように分配するのか、などです。

SZ: それを学ぶのは難しいプロセスですね?

メルケル: これまで欧州連合では、現実を直視してきませんでした。市場も長い間、たとえば、ギリシアに関して競争上の格差があったことになどの問題に、反応しませんでした。最終的には加盟国はしばしば、自ら作った安定成長協定などのルールを守りませんでした。

SZ: 危機で得た最も重要な経験は何ですか?

メルケル: 最初は、ヨーロッパは単に、いわゆる投機筋の犠牲になったのか、という議論が多くありました。しかし今は、そしてこれが決定的なステップですが、問題の根源が明らかになったのです。多くの国はここ一年半の間に、信じられないほどの努力とつらい改革を行い、これに対して私は、深い敬意を表明したいと思います。全体としては、欧州連合の連帯と各国の自己責任の間で、適切なバランスを見つけることができたと思います。もし私たちが全ての失敗や、やり逃したことから学ぶ事ができれば、危機から抜けたヨーロッパは、危機前よりもっともっと強くなると確信しています。

SZ: 連帯に関しては異論もあります。イタリアは、もっと支援を得るのが当然だと要求しています。連帯とはどのようなものだと考えますか?

メルケル: 欧州連合のパートナーである各国に対し、その国々も自助努力をするという期待を前提に、各国の状況改善のため支援を行うこと、これはEFSFでも行いましたが、ESMでもそうします。ちなみに、この恒久的救済メカニズムのアイデアは、ドイツから出たものです。私たちは、連帯する姿勢なのです。ただし、私たちが常に指摘してきたのは、ある国が他の国の負債の肩代わりすることはできないと明確に定めた、通貨統合条約に基づいて支援を行わなければならないことです。

SZ: つまり、首相の考える連帯は、とても厳しいものですね。

メルケル: 私たちは連帯しますが、自己責任を忘れてはなりません。この二つは一体なのです。もっと資金を出すと約束しても、危機の原因を解決しなければ意味がありません。例えばスペインでは、青少年の40%以上が失業していて、その背景には法律の問題もあります。ただ私は、スペインの改革への努力に大変敬意を感じているので、この指摘を批判と受け取らないでいただきたいです。私が言いたいのは、欧州連合の国々はお互いから学び合うべきだということです。ドイツも多くの点で、他の国を参考にすることができます。ドイツが多額の支援を行うときもEFSFでも、最後に力が尽きないように常に気をつける必要があります。なぜなら、ドイツができることは無限ではありませんし、ドイツの力だけで欧州連合全体を救済できるわけではないからです。

「欧州連合は排他的ではない」

SZ: 危機のストレスは、影響を残しています。欧州連合が分裂する危険性はどのくらいありますか?

メルケル: 私は欧州連合が分裂するとは思いませんが、私たちに団結の意志があるか、市場が検証していることは確実です。多くの人々の資金を長期的に投資する機関は、20年後のヨーロッパがどうなっているか、知りたいのです。人口構成が変化したドイツに、まだ競争力があるのか?私たちはイノベーションに前向きなのか?この危機で、欧州連合の協力は、全く新しい段階に入りました。欧州連合内の協力とは、すなわち欧州連合の国内政治なのです。つまり加盟国は、単に外交的な付き合いをするだけでは不十分で、国内政治でそうしているように、ありのままに問題を論じ、解決しなければいけないのです。

SZ: でもイギリスは、欧州連合を国内政治として見ることは、決してないでしょう。

メルケル: 私は、イギリスは欧州連合加盟を継続したいと考えていると確信しています。もちろん、27カ国が団結するのは、いつも簡単なわけではありません。また、私たちドイツにとって常に重要なことは、全ての加盟国との意見の調整をとることです。いわゆる大規模加盟国とも、小規模加盟国とも、また発足当初からの加盟国とも、この数十年間で参加した加盟国とも、意見調整するということです。常に全ての加盟国とバランスをとり、イギリスとも可能な限り調整します。

SZ: もしくつかの国が、中核のユーログループや、財政協定に参加しない場合、そのバランスはどうなるのでしょうか?

メルケル: 共通通貨で結びついた国々が、特に緊密に協力する必要があることは、誰でもわかることです。しかし私たちは、共通通貨に参加しない国を排除しようというわけではありません。それは、根本から間違っているからです。ユーロプラス協定でも、財政協定でもそうですが、ユーロ非加盟国の協定への参加を歓迎しています。共通通貨を強くするには、より緊密に政治で歩調を合わせ、段階的に各国の権限を欧州連合に委譲する姿勢を持つことが必要です。

債務削減と財政の安定化を、何度もくり返し約束したのなら、将来はそれが実行され、または実行を要求されることが、可能にならなければいけません。財政協定はまさに、義務を果たしたかを検証可能にするものなのです。そのためには各機関にもっとチェック権限を付与し、より積極的に行動するよう、サポートが必要です。

SZ: 財政緊縮の次は成長ですね。この二つは、どのようにしたら同時に実現できるのでしょう。

メルケル: 多くの人は成長というと、多くの資金が必要な景気振興プログラムばかりを考えるようです。そのようなプログラムは、最初の危機の段階では効果があったし、今も私たちは、使われないままで資金が眠っている、欧州連合の各基金を調べる必要があります。私は、欧州連合が成長と雇用を促進する対策に的を絞り、その資金を投入することを望みます。そのとき念頭にあるのは、中小企業や起業家の支援、若者の雇用対策事業や、研究やイノベーションのための資金です。この様な意味ある目的のために、ドイツは構造基金を使う姿勢です。

また他に、ほとんどお金をかけないで成長促進する方法もあります。例えば労働法に関して言うと、法律で若い人の参入に高い障壁が設けられている分野では、法律をもっと柔軟にする必要があります。特定の職種につける人が、国民のなかで一握りの人々に限定されるということは、あってはなりません。サービス業の分野は、迅速な拡充が可能です。もっと民営化をすすめる必要性があります。

SZ: ドイツの強さは、他の国々の成長を阻害していますか?

メルケル: そんなことはありません。また、仮にドイツが弱くなったとしても、何の役にも立ちません。もちろん私たちは時とともに、欧州連合内のアンバランスを解消しなければいけません。しかしそれは、他の国が競争力を高めることで実現すべきもので、ドイツの弱体化により実現すべきではありません。

「ユーロ共通債は解決策にはならない」

SZ: リスクを分散し、各国がもっと責任を負う、他の方法はあるのでしょうか?

メルケル: 現在の危機においては、ユーロ共通債は解決策にはなりません。もっと共同で債務責任を負うことを検討できるのは、欧州連合が非常に深い統合を達成してからであり、ユーロ共通債を危機の解決策と見るべきではありません。深い統合とは、例えば欧州司法裁判所が各国財政をチェックしなければならないことや、その他にも多くのことがあります。いつか金融財政政策を統合したら、今とは違う形の協力や共同の債務責任が可能になるでしょう。

SZ: ポーランドのシコルスキ外相は、主導権を発揮するドイツへの恐怖心よりも、ドイツが何もしないことへの恐怖心の方が大きいと述べています。ドイツは十分に行動をしているでしょうか?

メルケル: 私が特に嬉しく思ったのは、ポーランド外相のこの言葉が、ドイツに対する大きな信頼を表していることです。これは、両国の関係がいかに良好に発展してきたかを示しています。基本的に言えるのは、ドイツはヨーロッパの重要な国であり、そのことから生じる責任を担っているということです。しかしまた―これはポーランドの事ではないと断っておきますが―自分で責任をとらずにすむために、しばしば他の国に主導的役割を担わせる場合もあります。強力な指導力を発揮することは、常にリスクでもあるからです。

ドイツは、正しいことのためにリスクを負うことも恐れませんが、何といってもヨーロッパは共に歩む道に関して、合意することが必要です。

SZ: 外相の言葉には、懸念も表現されていますね。ドイツは本当に欧州連合を支持しているのか?あるいは欧州連合なしで単独で行動した方が良いのではないでしょうか?

メルケル: これは明言しておきたいと思いますが、ドイツで意味を持つ政治勢力は全て、欧州連合を支持しています。ローマ条約締結50周年に際して「Wir sind zu unserem Glück vereint.」という言葉が使われました。意識して二重の意味を持つよう選ばれたこの言葉は、「幸せにも私たちは統合された」という意味と、「統合されたヨーロッパでのみ、私たちは幸せになれる」という二重の意味があります。

SZ: ヨーロッパはこれまで長く、調和の地だったわけですが。

メルケル: そうかもしれません。しかしその代償として私たちはしばしば、厳しい決定を避けてきました。そのようにしていたら、欧州連合は成功しません。でも私が目指すのはまさに、欧州連合の成功です。

SZ: 首相は厳しさを求め、あまり有り難くないドイツのイメージを強めてしまっています。厳しく、自分の正しさに固執する、支配的なドイツというイメージです。

メルケル: そのような懸念は真摯に受け止めますが、それは根拠のないものです。また、ドイツ国内での議論を含めて、特定の型にはまったイメージが、いかに急速に出来上がるかということも、興味深いと思います。これは「そもそもドイツ人とは」などという、ステレオタイプなイメージで、ポーランド人、フランス人、スペイン人、ギリシア人も同様です。しかしヨーロッパの進歩とはまさに、そのような固定観念でお互いを見なくなったことなのです。怠け者のドイツ人もいれば勤勉なドイツ人もいるし、左派のドイツ人もいれば保守派のドイツ人もいます。競争力を支持する人がいれば、富の分配を支持する人もいます。ヨーロッパの国々が多様性を持つのと同じように、ドイツも多様です。型にはまった考え方は捨てましょう。

「私の将来ビジョンは政治連合」

SZ: 大きな権力を担うことで、ご自身に変化はありましたか?鉄の首相とか、女性版ビスマルクなどと呼ばれていますが、それを恐ろしいと感じますか?

メルケル: 私は最大限に知識を駆使し、誠意を尽くして行動しています。私は35年間、経済的・政治的な無能のため、幸いなことに結局存続できなかった国、自由を求める人々が消滅させた国で暮らしました。私は、民主主義、人権、自由の理想と価値観を持つヨーロッパは、そこで暮らす人々や世界に対し、多くの貢献ができると、強く確信しています。

欧州連合の人口は世界人口の7%ですが、もし私たちが団結しなければ、私たちの声や信念は世界に届かないでしょう。このヨーロッパの平和、価値観、繁栄の理念が、私が大事にするモチーフです。ですから、危機に際していい加減な対処をしたくないのです。私が望むヨーロッパは、過去の栄光が残る博物館のようなものではなく、新しいものを創造するヨーロッパです。このことが多くの人にとって、非常に大きな変化を意味することは、私にもよくわかっています。ですから、お互いに支え合わなければいけないのです。しかし、この様な努力に二の足を踏み、表面だけ友好的態度をとって、全ての改革を骨好きにしてしまったら、それはヨーロッパのためにはなりません。

SZ: フランスには「ヨーロッパへの希求」という、非常にエモ-ショナルな言葉があります。この様な感情は、首相にとっては不気味なものかもしれません。そうだとしても、欧州連合は何らかの感情とつながるものですか?

メルケル: もちろんです。私がしていることは全て、欧州の統合が私たちの幸福を意味し、その幸福を守らなくてはいけないという信念に基づいたものです。もし欧州連合の統合がなければ、私たちの世代も戦争を起こすかもしれません。私は壁の崩壊までの35年間、簡単には西ヨーロッパに行けないという苦しみを味わいました。自分にとって、それは夢だったのです。ヨーロッパは、私の大陸です。そこに住む人々は、私と同じ価値観を大切しています。ともに世界を形作ることのできる大陸、人間の尊厳、表現の自由、報道の自由、デモの自由、持続性ある経済活動、温暖化防止など、人類の未来を守るもののため、共に尽力できる大陸です。しかしまた、ヨーロッパにこのような感情をいだくだけでは、人々に豊かな生活と雇用を提供できません。私たちはそのために、日々努力しなければいけません。

SZ: 首相の大きな将来ビジョンである、ヨーロッパのための10項目計画を実現する時が来たのではないですか?

メルケル: ローマ条約記念式典の、私のスピーチを読んでください。あそこに、私の欧州連合に対する信条が述べられています。ただ、最初に言われた音楽の喩に戻ると、今は、そもそも音楽とはいかに素晴らしいものかを論じる時ではありません。私たちに今必要なことは、世界市場のコンサートで演奏に参加することです。世界市場は、きちんとした合奏を聞きたがっているのです。

SZ: 首相の将来ビジョンには、ヨーロッパ合州国も入っているのでしょうか?

メルケル: 私の考える欧州連合の未来像は、政治統合です。なぜならヨーロッパは独自の道を進む必要があるからです。欧州連合加盟国は、あらゆる政治領域で、少しずつ統合していく必要があります。どのようなテーマも、隣国にも同じ様に関係があることを、私たちはますます強く認識するようになっています。欧州連合の政治は、国内政治なのです。

SZ: そのことは、政治機関や構造に、どのように反映されるのでしょうか?

メルケル: 長いプロセスを経て、欧州委員会にもっと権限を委譲し、欧州委員会は、欧州連合が権限を持つ事項では欧州連合の政府の様に機能します。また、強い欧州議会が必要になります。両院制のもう一つの議会にあたるのが、各国首脳で構成される欧州理事会です。そして最後に、司法の最高機関としての欧州司法裁判所があります。これが将来の欧州連合の政治統合の形かもしれません。そして先ほど述べたように、多くの段階を踏んだ上で、そうなると考えています。

ドイツ語オリジナル記事

コピーライト: Süddeutsche Zeitung Digitale Medien GmbH / Süddeutsche Zeitung GmbH

出典: (SZ vom 26.01.2012/cag/gba)

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